スズメバチの基礎知識

先に説明したようにスズメバチの種類によって若干の違いはありますが、大まかな生態はほとんど同じです。

暖かい季節になって冬ごもりから覚めた女王は、樹液やアブラムシの甘露をなめたりして体力を回復させ、巣作りをする場所を探します。

いい場所が見つかったら巣作りを開始、最初に生んだ卵が働きバチとして羽化するまで(だいたい1ヶ月ぐらい)は女王が一頭でエサ集めや巣作りをします。その後働きバチが数十頭クラスになると女王は巣にこもり、産卵に専念します。だいたい6〜7月ぐらいです。

これから夏にかけて加速度的に巣は大きくなります。キイロスズメバチ、モンスズメバチ、チャイロスズメバチは夏に巣の引っ越しをします。

秋、オスバチとメス(新女王)バチの幼虫が生まれてくると、新しい働きバチは育てられなくなります。そのため次第に働き手が減ってゆくので、今まで育ててきた幼虫を引き抜いて他の幼虫のエサにしたり、巣の外に放り出してしまいます。秋に巣の近くに沢山の死んだ幼虫が落ちているのはこれです。

やがてオスバチ、次いで新女王バチが羽化、性成熟すると巣を飛び立ち、交尾をして新女王バチは越冬生活にはいります。オスバチと、巣に残った働きバチは静かな余生をおくり、死んでいきます。

冬、雪の降る頃には全てのオスバチ、働きバチはいなくなり、巨大になった巣も空になります。次の年以降にこの巣を再利用することはありません。

そして、

越冬生活にはいった新女王バチが、冬を越し、春になって活動を始め……と、営みが繰り返されるのです。