ヒメスズメバチ

『ヒメスズメバチ』

『ヒメ』とつく昆虫は小さなやつが多いと思うんですが、こいつは大きい。オオスズメバチに比べて『ヒメ』なんでしょうか。コガタスズメバチもたいして『小型』じゃないですしね。

ヒメスズメバチナナホシテントウ

働きバチの体長は35ミリ強。単独のときは、オオスズメバチなのか、大きめのコガタスズメバチなのか、モンスズメバチなのか、と一瞬考えてしまいます。でもよく見るとお尻の先が黒い。他のスズメバチはみんなお尻の先が黄色いんで、実は簡単に見分けがつきます。

巣も一目瞭然、巣の『がわ』の部分が雨傘のように上部に被さっているだけで、下側は丸見え状態の特徴的な形をしています。写真がないんですが、モンスズメバチを紹介したときの写真に近い感じです。もっと丸っこくて、えらい巨大なアシナガバチの巣やなあ、という感じです。

奴らは基本おとなしい正確ですし、巣が大きくならない(せいぜい働きバチが数十頭クラス)ので、駆除の依頼を頂くことは極めて少ないです。でもフィールドでは比較的よく見かけるので、自然界には意外とたくさん生息しているんだろうなと思います。

面白いのは専門的に『アシナガバチの幼虫』を『自分たちの幼虫のエサ』にしていることです。そのため冬ごもりから女王がでてくるのは、アシナガバチに幼虫が生まれるころ、他のスズメバチよりずいぶん遅く出現します。

独立開業する前なんでずいぶん昔の秋のことですが、マンションの屋上付近でスズメバチが飛び回るのでなんとかしてほしい、という依頼がありました。現地に行くと5、6階建てぐらいのマンションで、確かに上層階付近を沢山のスズメバチが飛び交っています。

どこに巣があるのかと探してもどこにも見つからない。ハチの動きを観察すると、近くに巣があるというより遠くから飛んできている様子。結局、なんの対策もできずに終わった、ということがありました。

その頃は知らなかったんです。ヒメスズメバチは交尾期に巨木や小高い丘の周りを飛び回る習性があり、高層ビルを巨木や丘に見立てて同じような行動をとっていることを。いや、私だけでなく害虫駆除業界でも知る人はあまりいなかったんじゃないかな。わりと最近になってわかったみたいし。

ヒメスズメバチのシーン

※画像がないと寂しいのでアニメ『セミ太郎 第4話』のワンシーン

でもこの飛び回るハチはほとんどがオスバチなので、刺される事はないようです。