ツマアカスズメバチ

見た事無いです。

ツマアカスズメバチナナホシテントウ

それもそのはず、いまのところ長崎県の対馬にしかいません。でも、いずれ日本本土にも上陸してくる可能性があり、なんとか食い止めようと環境省でも注意している外来種です。

元々は大陸に分布するスズメバチで、平成24年に対馬市で初確認され、その後の調査・駆除では

……情報を正確にしようと環境省のホームページを見ると、今年の10月に大分県大分市で営巣が確認されたようです。

http://www.env.go.jp/press/106070.html

なんせ、生態系への大きな影響が考えられる外来種のスズメバチが韓国ルートで日本に侵入してきている、ということです。現時点で滋賀県での確認はありませんが『人ごと』とは簡単に言えない問題です。

チャイロスズメバチ

レア・スズメバチの『チャイロスズメバチ』です。

駆除依頼を受けることはほとんどありません。

チャイロスズメバチナナホシテントウ

働きバチの大きさはコガタスズメバチやモンスズメバチよりちょっと小さめ24ミリ程度。でも体色は全く違い、頭と胸は赤茶色、腹は黒色です。

非常にレアな種類で私もほとんど出会った事がないのですが、これは2016年の7月末ごろ、某ゴルフ場に作られていた巣です。

チャイロスズメバチの巣

攻撃的なハチで、巣に近付くと地表付近を飛び回って威嚇してきました。

駆除後、撤去した巣はまだ小さかったのですが、よく見ると写真の下の方にモンスズメバチの死骸があります。

実はこのチャイロスズメバチは『他のスズメバチ(キイロやモン)の巣に女王が単独で入り込み、元々の女王を殺して巣を乗っ取る』というかっこいい(!?)習性を持っています。

乗っ取られたがわの働きバチたちは、女王が入れ替わってもそのまま巣作りや子育てを続けます。でもその後生まれてくるのは当然ながらチャイロスズメバチなので、いつしか巣は完全にチャイロスズメバチのものになってしまうのです。

この写真の巣も駆除した中にモンスズメバチが混ざっているということは、元々はモンスズメバチの巣だったと思われます。

自然って面白い、ていうか……考えたら人間でも似たような事は起こるような……。こわー。

クロスズメバチ・シダクロスズメバチ

これはあれですわ。美味いやつ。

『クロスズメバチ』『シダクロスズメバチ』

岐阜や長野の郷土食『蜂の子』といえば、この2種の幼虫・サナギです。

このブログでも過去に何度も紹介しました。

クロスズメバチナナホシテントウ

小さい。小さくて可愛い。

知らない人が見たらハエかな?黒っぽいミツバチかな?と思われることでしょう。

オオスズメバチと同じように山で土中営巣します。ごくまれに逆さまにした植木鉢の中とか、鳥の巣箱の中とかで営巣したコロニーの駆除依頼があります。

『蜂の子』を食する地域では、地方によって呼び名が沢山あります。タカブ、ヘボ、ジバチ、スガラ、スガレ、スガリ、ハイバチ、ジスガリ……。滋賀県の食文化としては、あまり馴染ありませんが、岐阜や長野などは良質なタンパク源として古くから親しまれてきたようです。

ヒメスズメバチ

『ヒメスズメバチ』

『ヒメ』とつく昆虫は小さなやつが多いと思うんですが、こいつは大きい。オオスズメバチに比べて『ヒメ』なんでしょうか。コガタスズメバチもたいして『小型』じゃないですしね。

ヒメスズメバチナナホシテントウ

働きバチの体長は35ミリ強。単独のときは、オオスズメバチなのか、大きめのコガタスズメバチなのか、モンスズメバチなのか、と一瞬考えてしまいます。でもよく見るとお尻の先が黒い。他のスズメバチはみんなお尻の先が黄色いんで、実は簡単に見分けがつきます。

巣も一目瞭然、巣の『がわ』の部分が雨傘のように上部に被さっているだけで、下側は丸見え状態の特徴的な形をしています。写真がないんですが、モンスズメバチを紹介したときの写真に近い感じです。もっと丸っこくて、えらい巨大なアシナガバチの巣やなあ、という感じです。

奴らは基本おとなしい正確ですし、巣が大きくならない(せいぜい働きバチが数十頭クラス)ので、駆除の依頼を頂くことは極めて少ないです。でもフィールドでは比較的よく見かけるので、自然界には意外とたくさん生息しているんだろうなと思います。

面白いのは専門的に『アシナガバチの幼虫』を『自分たちの幼虫のエサ』にしていることです。そのため冬ごもりから女王がでてくるのは、アシナガバチに幼虫が生まれるころ、他のスズメバチよりずいぶん遅く出現します。

独立開業する前なんでずいぶん昔の秋のことですが、マンションの屋上付近でスズメバチが飛び回るのでなんとかしてほしい、という依頼がありました。現地に行くと5、6階建てぐらいのマンションで、確かに上層階付近を沢山のスズメバチが飛び交っています。

どこに巣があるのかと探してもどこにも見つからない。ハチの動きを観察すると、近くに巣があるというより遠くから飛んできている様子。結局、なんの対策もできずに終わった、ということがありました。

その頃は知らなかったんです。ヒメスズメバチは交尾期に巨木や小高い丘の周りを飛び回る習性があり、高層ビルを巨木や丘に見立てて同じような行動をとっていることを。いや、私だけでなく害虫駆除業界でも知る人はあまりいなかったんじゃないかな。わりと最近になってわかったみたいし。

ヒメスズメバチのシーン

※画像がないと寂しいのでアニメ『セミ太郎 第4話』のワンシーン

でもこの飛び回るハチはほとんどがオスバチなので、刺される事はないようです。

オオスズメバチ

スズメバチ界の王者『オオスズメバチ』

オオスズメバチナナホシテントウ

でかい。

なんせでかい。働きバチは40ミリ。

住宅に巣を作る事はまれで、営巣場所で多いのは里山の土手、木のうろなどの比較的地面に近い土中。

奴らは人が巣に近寄っても案外知らん顔している……と思って一線を越えたら、一斉に大群で襲いかかってくるという恐怖の大王です!逃げても逃げても執拗に追いかけてくる。山菜採りやキノコ採りの人が毎年何人も刺されて死亡しているのがわかります。

オオスズメバチの巣入口

矢印の先に見える穴が出入り口。動画から切り取った画像なんでブレてますが巣に戻るオオスズメバチがわかりますか?

この下は、上の写真と同じ巣の動画です。オオスズメバチ駆除の依頼で巣の出入り口があると思われるところに調査に入ったときのものです。

カチカチカチッと威嚇する音を鳴らしているのがわかります。

この出入り口から薬剤を使用してハチを駆除し、巣を掘り起こします。見ての通り笹藪で、根っこが邪魔をするので掘るのも一苦労でした。写真は撮っていませんが、直径70センチぐらいの大きな巣でした。